弊社では、保育や医療と言った、現場での実習が義務付けられている職業に就く学生を教える学校で講演することがよくあります。先日も、とある看護学校で講演を行ったのですが、先生方からソーシャルメディアガイドラインを策定する際のポイントについて質問を受けました。その場でお伝えしたことをここに改めて記載します。
ソーシャルメディアガイドライン策定の手順
1.自校で過去に起きたトラブル事例を分析する
トラブル事例を以下の項目でまとめてください。
誰が、どのような場面・場所で、どのサービスを使って、何をして、どうなったのか、トラブル後の対応(学校、本人それぞれ)、再発防止策(誰が何をしていれば、防げたのか)
これらをまとめ直すことで、自校のトラブルの特徴が見えてきて、何をどのように防げばよいかが具体的にわかります。自校にトラブル事例が少ない場合は、同一学科をおく他校の事例をインターネットで調べてみると良いでしょう。
2.前項目でまとめた再発防止策をもとに、「やるべきこと」「やってはいけないこと」に整理する
ガイドラインは、理念を書くのではなく、具体的な行動を書くものです。従って、トラブルに合わないために普段から行うこと、トラブルを起こさないためにやってはならない事、を箇条書きします。
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やるべきこと
パスワードは定期的に変えて複数サービスで使い回さない。
アプリケーション、ソフトウェアのアップデートを行う。
複数の情報源から情報を判断する。
意見の違いを意識し、動画や記事は、他人の意見を聞いたうえで公開する。
やってはいけないこと
ん他人の誹謗中傷及び、批判。
自身の所属(学校名、勤務先)を不用意に明らかにすること。
他人が写った写真や動画を本人の同意を得ずに公開。
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3.誰もがわかりやすく具体的な文章にまとめる
ガイドラインの目的、対象範囲などとともに、「やるべきこと」、「やってはいけないこと」を文章で記載します。具体例もつけます。
************************記載例************************
意見の違いを意識する。
インターネットは、様々な立場・考えをもった人が利用しています。自分が「面白い」と思ったコンテンツ(動画、記事など)であってもそのコンテンツを閲覧するすべての人が等しく「面白い」と感じるとは限りません。ある人にとっては、「不快」と感じることもあります。自分の考え・意見だけで判断しコンテンツを公開したり他人の公開したコンテンツにコメントを残すことは避けましょう。
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4.研修を行う
ガイドラインの内容を理解させ、順守させるための研修を行います。全職員の共通認識として取り組む必要があります。
策定後の留意点
1.トラブル発生時のフロー(手順)を定めておく
トラブル発生時の対応マニュアル(いつ、だれが、何をするか)を定めて全職員に周知しておきましょう。「トラブルは必ず起こる」という認識のもと、事態の把握、収拾方法の意思決定、事態収拾、対外的な対応、役割を洗い出し、誰が行うか、を定めておく必要があります。また、災害時の避難訓練同様、トラブル時の対応訓練を年に1度は行う必要があります。
2.監視体制の整備
問題となる投稿を行った後、どれくらいのスピードで炎上が起こるのでしょうか。一般的に、問題コンテンツの投稿後、1~2時間で匿名掲示板などにスレッド(問題コンテンツについて各々が話し合うための場)が立ち、4時間~6時間で投稿した個人が特定されて個人やその所属先(学校・企業など)への攻撃が始まるとされています。
記事の投稿は夜行われることが多いため、夜、寝る前に投稿して、朝起きたら、自分の前が特定され、攻撃が開始されている、ということが実際に起きています。トラブルを防ぐためには、深夜から朝にかけての監視体制及び事態の収拾体制(火消)を整えることが不可欠です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。ソーシャルメディアガイドラインの策定方法について、記載いたしました。
弊社では、ガイドラインの策定支援、策定後の運用(研修の実施・学校の状況に応じた見直しの提案)、トラブル発生時の対応マニュアル策定支援、炎上予防のための監視活動などを一貫して承っております。学校に応じた最適な支援プランをご提案いたしますので、お気軽にお問い合わせください。